白黒学派

Monochrome School

『誰のための綾織』読了

新宿のとある出版社の編集者である稲毛のところに持ち込まれた「蛭女」という推理小説。それはひとりの女子高生の死を巡る復讐劇だった。女子校で密かに行われる陰湿ないじめがひきがねとなった誘拐監禁事件。しかし、事件は予期せぬ密室殺人事件によって混迷を極めることになる。はたして、事件の真相とはいかなるものなのか……。

飛鳥部勝則の第十作目。昨年の『レオナルドの沈黙』も問題作でしたが、この『誰のための綾織』も問題作でした。けれども、非常に楽しんで読めました。個人的には、どこぞの凌辱系えっちげーみたい展開にわくわくっぱなし。ただ、最後の仕掛けはちょっと確認する時間が必要ですね。ただ、大概はその偶然の一致はご都合主義的でしかないのに、それに理由を付けてしまうというのには驚きました。その工夫も含め、すごいことを試みようとしているのはよくわかりました。ああ、まずい。これ以上は話の真相に近づきしすぎてしまいます。やっぱり、ここでこれ以上は書けないです。

それにしても山本タカトのあやしげな女学生の絵と内容とが見事にあっています。