白黒学派

Monochrome School

浦賀和宏『松浦純菜の静かな世界』

日曜の小旅行中に読了。浦賀和宏の描く奇妙な小説としての衝撃度は少なく、松浦純菜というちょっと電波系な彼女に萌えられるかどうかが、面白さの分水嶺になるかしらん。僕は最後の場面はかなり萌えました。カバーイラストのふとももとふくらはぎには負けますが。

それはともかく、もうひとりの中心的な登場人物である八木剛士のオタク的言動が、どうにもひっかかりました。たとえば劇場版ガンダムの主題歌を作曲して、ドームで演奏するなどと夢想する。それもシンセサイザーで。またプラモのゼータやダブルゼータは変形するから遊びの要素があるなんて考えてみたりする。この思考はちょっと留保してもいいけど、他にも、この時代にガンダムの主題歌を歌う森口博子のCDを買ったなんて記述もあったりして、個々の事実は間違っていないのだが、総合的にみてそんな語り方をするオタクがいるとはちょっと思えない。固有名詞の提示のしかたもなんだか座りが悪い。僕は別にオタク的造詣に深いわけではないが、この感覚は間違っていないと思う。