白黒学派

Monochrome School

海猫沢めろん『左巻キ式ラストリゾート』

読了。電車の中で読むのはたいへんでした。うわー、私小説ということでいいでしょうか。認識論とイデアの話には思うところあり。電脳上ではおおむね好評のようですし、その意見にはうなずくものの、そうすると内在する欠点も指摘しておいたほうがいい気もします。まずは某メフィスト賞っぽい処理がにんともかんとも。ただその処理は、その作品と違い、作品の主題と深く関わっているからなあ。その道具立てはうまいと思いますが、これまたメフィスト賞作家の三桁の小説ほど徹底しているわけではないわけで。

あと、この小説は推理小説なんでしょうか……。暗号はかなり無理筋ですし、すばらしい見えない人の設定に仰天したものの、解かれるべきものじゃないような気がしていて。うーむ。本格推理とはいえないけど、推理小説の範疇にはある、ということにしておきます。